第一志望の早稲田中学は正直「難しいな」という印象。指導初日にS君のお宅に伺って、
「かなり熱心なお母さんだな」と思いました。
何しろ、今までデーリーサピックスで分からない問題をチェックして大量に用意してあった程でした。
S君は小学3年生からサピに通っていることもあって知識面ではしっかりしているものの、
早中の過去問や、模試の点数が取れてない状況でした。
特に算数が 62から 48まで落ちており、私はまずこれを何とかせねばと思いました。
サピは 御三家、特に開成を意識した問題が多く、オーソドックスな問題の多い早中には向かないので、
「基礎トレ」を進めることにしました。
指導を始めて分かったのはサピの難しい問題をやっていたにも関わらず、
標準的な問題ができていないことでした。
S君は算数をパターンで覚えていくやり方だったので、 同じような問題を違う角度で問われると
解けない状態でした。
つまり、算数を暗記科目にしていました。私はまず、算数は公式だけで解くのではなく、
図や、表を使って整理しながら解くようにしました。
初日は5題しか終わらなかったので、指導後お母様から
「もっとたくさんやっていただかないと困ります。」と言われました。
「このやり方で結果が出る筈です。」と答え、1ヶ月程続けました。
ところが、S君の場合伸びる兆しが出ません。さすがに私も困り「どうしてかな」と考えてみました。
S君の指導に伺うと毎回20題くらい問題が用意してありました。その中にはS君の力からすると
出来そうな問題もありました。
「この問題何分くらい考えた?」と聞くと「5分くらい」「何回やってみた?」「1回」という答えでした。
「あっ、そうか!!」そこで私はS君に言いました。
「算数は1回20分は粘ってみるのが大事だよ。
で、それでも解けない問題はまた別の日にもう1回やってそれでも分からない時は、教えるから。
自分で何とかしようとするのが大切なんだ。」
と言いました。
S君の場合、お母さんがたくさんの問題をやらせようとするため、そういう状態になっていました。
中学受験では塾も親も問題の数をやることにこだわる人が多いのですが、
本当に大切なのはひとつひとつキチンと解けるようにしていくことです。
そうすれば自分で何とかできる応用力がついてきますので
そうしたら問題数を徐々に増やしていくべきなのです。
それが分かっていない人が教えると伸びません。
だから、個別塾や家庭教師ですぐに教えるマシーンみたいなタイプの人だと、
生徒に考えさせるチャンスを与えないので逆効果なのです。
特に親が教える場合はこのパターンが多いようです。
S君の場合は何とかお母様に理解してもらい、10月下旬には何とか考えるクセがついてきて、
成果の方も少しづつでてきました。
その後は早中の過去問を何度もやり、出題される傾向、レベルをチェックして
それに合わせた問題に取り組みました。
S君は自信を深めていったようですが、お母様の方は「大丈夫ですか?」と何度も聞いてきました。
これには私も困ってしまい、「もうここまで来たら今更あれこれ考えても始まりません。
お母様が迷ったりしているとお子さんも勉強に集中できなくなるので、余計なことは言わないで下さい。」
と生意気なことを言いました。
私の経験では小学生の場合、3ヶ月あればかなり伸びる子がいます。
そういう子の場合必ず勉強に集中できる環境があります。
だから、最後は自分のお子さんを信じて「何とかなるさ」くらい割り切った(お芝居でもいいので)態度
をとることが大切だと思います。
そうするとお子さんも気持ちよく机に向かえるので結果が出てくるのです。
結果は市川○、早中○、慶應中等部○でした。